不動明王
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不動明王(ふどうみょうおう)
密教特有の尊格である明王の一尊
大日如来の化身
五大明王の中心となる明王
刀剣と不動信仰
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古くから広まった不動明王は諸願成就、厄除けなどの力を望んだ武家の間で広く信仰され、刀剣の世界においても倶利伽羅龍や三鈷剣、護摩箸などの彫物を不動明王のシンボルとして彫ることが多い。
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不動明王を刀身彫刻された刀剣は古来多い。特徴的なものでは異名として冠せられる刀剣もある。中でも不動行光は不動三尊を彫る。
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また不動明王の立像が右手に持つ剣は「倶利伽羅剣」と呼ばれ刀剣彫刻の題材として用いられることが多い。
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また倶利伽羅竜の彫刻が特徴的なため、異名として冠せられている刀剣もある。
不動明王の概要
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不動明王は、密教の根本尊である大日如来の化身、あるいはその内証(内心の決意)を表現したものであると見なされている。
密教では、一つの「ほとけ」が「自性輪身」、「正法輪身」、「教令輪身」という3つの姿で現れるとし、これを三輪身という。不動明王は大日如来の教令輪身とされ、煩悩を抱える最も救い難い衆生をも力ずくで救うために、忿怒の姿をしている。ちなみに大日如来の正法輪身は金剛波羅蜜菩薩である。 -
真言宗をはじめ、天台宗、禅宗、日蓮宗等の日本仏教の諸派および修験道で幅広く信仰されている。
大日如来の化身
- 不動明王は、大日如来が衆生を教化する際に、忿怒相をもって現れたもの(教令輪身)とされる。
- あるいは、大日如来の命を受けて魔軍を撃退し、災害悪毒を除いて煩悩を断ち切り、行者を守って諸願を満足させるものともされる。
五大明王
- 五大明王の降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王らと共に祀られる。平安時代に密教が流行すると、五壇法の本尊として五大明王像が盛んに造像された。
不動明王の像容
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不動明王は、一面二臂で降魔の三鈷剣(※ 魔を退散させると同時に人々の煩悩や因縁を断ち切る)と羂索(※ けんさく/けんじゃく。悪を縛り上げ、また煩悩から抜け出せない人々を縛り吊り上げてでも救い出すための投げ縄のようなもの)を持つ姿で造像されることが多い。
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肥満した童子形に作られることが多く、怒りによって逆巻く髪は活動に支障のないよう弁髪でまとめ上げ、法具は極力付けず軽装で、法衣は片袖を破って結んでいる。
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これらの特徴は、9世紀末に天台宗の安然により「不動明王の十九観」としてまとめられている。
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右手に剣、左手に羂索を握りしめ、背に迦楼羅焔(※ かるらえん。迦楼羅の形をした炎)を背負い、貪・瞋・癡を許さんとする慈悲極まりた憤怒の相で、岩を組み合わせた瑟瑟座か、粗岩(※ 岩座ともいい、仏典では「磐石」。「金剛石」とされダイヤモンドの原石を指す。)の上に座して「一切の人々を救うまではここを動かじ」と決意する姿が一般的である。日本では坐像の他、立像も数多く存在している。
倶利伽羅剣
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倶利伽羅剣は、不動明王の立像が右手に持つ剣であり、三昧耶形では不動明王の象徴そのものであり、貪・瞋・痴の三毒を破る智恵の利剣である。
貪・瞋・痴(とん・じん・ち)は、煩悩を毒に例えたもので仏教において克服すべきものとされる最も根本的な三つの煩悩。貪は貪欲を、瞋は怒りや憎しみ、痴は愚かな無知を指す。 -
剣は、倶利伽羅竜王が燃え盛る炎となって巻きまとっていることからこの名がある。
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「不動明王の十九観」では、11項で右手に剣を執ること、18項では変じて倶力迦大龍と成り剣に纏わると記される。
- 青蓮院門跡の国宝「青不動尊」では、三鈷剣に不動明王の変化身である竜王倶利迦羅龍が巻きついている。
不動三尊・不動八大童子
- 不動明王は、不動八大童子と呼ばれる眷属を従えた形で造像される場合もある。
不動八大童子
- 不動八大童子とは、慧光童子、慧喜童子、阿耨達童子、持徳童子(指徳童子)、烏俱婆伽童子、清浄比丘、矜羯羅童子、制吒迦童子をいう。
不動三尊
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不動三尊とは、八大童子のうち矜羯羅童子と制吒迦童子を両脇に従えた三尊の形式で絵画や彫像に表されることが多い。
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不動明王の右(向かって左)に制吒迦童子、左(向かって右)に矜羯羅童子を配置する。不動明王二童子像、不動三尊像。
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【矜羯羅童子】 :童形であり、合掌して、親指と人さし指の間に金剛杵を横に挟んでいる。金伽羅とも。金剛棒を持つこともある。
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【制吒迦童子】 :童形であり、頭に五つの髻を結び左手に三鈷、右手に金剛棒を持つ。制吒多とも。